おせちによくあう優れものだった。
色はやや赤褐色を帯ていて、煮物にも酢の物にも合う。
キャラメル掛けの豚から揚げにもしっくりと添う。
恒例になっていた下呂への旅行をとりやめた。
長期休暇のはずが、最初と途中と真ん中あたりで
予定が3箇所も入れば、それは長期とは呼べないありさまとなる。
旅行の分の費用が浮いたのではなく、
その分は美食に消え、身につくことになった。
家にいると、食べることが多くなり身体にはよくないなと痛感する。
何年ぶりかに家で過ごす正月に
煮物とローストビーフは手作りしたが
メインおせちを購入してみた。
高額なおせちは配送してもらえず
大晦日にこちらが取りに伺うことになった。
バブリィな敷地に目眩がする。
出てきた支配人がどうしてもインテリやくざにしか見えず
かなりびびる。
おせちだけでいいんだよ。
しがらみはいらない。
私はあなたの顧客にはなりえない。
しがらみのない世界はないよという声もする。
なんでも入っている夢のようなお重を飾りこんこんと寝て暮らす。
すべてに配慮した丁寧な仕事に満足する。
なにもかも家族向けにできている正月の買い物をするよりも、
こうやって出来たものを買うほうが高額に思えるけれども、
最終的には適正価格になるのかもしれない。
甘すぎたり、照りがはいりすぎたり、口に合わない代物は
どれだけ日数がたっても減らない。
最終的に残食となり捨てることを考えれば、と
自分にすらいいわけしたくなるくらい饗宴だった。
いやいやローマもかくやなものが、庶民の口にはいる。